
左より、株式会社イトーキ蛭田様、會田様
企業が脱炭素に取り組む上で最初のステップとなるCO2排出量の可視化。
表計算ソフトを用いて算出する企業も多いですが、手入力による手間やミスの発生、さらには定期的に更新される排出係数への対応などで、「現場の負担が大きい」「数値の正確性に不安がある」といった声も多く聞かれます。
オフィス家具事業などを展開するイトーキも、こうした課題を抱えていた企業の一つ。
より効率的かつ正確にCO2排出量を可視化することを目指し、2024年1月から「e-dash」をグループ企業含む95拠点に本格導入しました。
数あるCO2排出量可視化サービスから「e-dash」導入を決めた理由とは?
サステナビリティ推進課 管理チームの會田直樹(あいだ・なおき)様、蛭田麻美(ひるた・あさみ)様にお話を伺いました。
目次
──脱炭素に取り組み始めたきっかけを教えてください。

會田直樹様(以下、會田):当社は、2009年より「人も活き活き、地球も生き生き」というビジョンステートメントを掲げ、持続可能な社会の実現を目指してきました。たとえば、J-クレジット・プロバイダー大手として、企業に対してカーボン・オフセットを通じたCO2削減支援を提供しています。2023年5月にはe-dashと連携させていただき、「e-dash Carbon Offset」において、民間主導では日本で初めてオンライン上でJ-クレジットの販売を始めました。
一方で、自社の事業活動における脱炭素取り組みを本格的に始めたのは、取引先企業からの要請がきっかけです。
海外のみならず国内の取引先からも、取引の前提条件として「CDP」や「EcoVadis」などによる環境評価で一定以上のスコアを取得していることが求められるケースが増えてきたのです。
「このままでは営業活動に支障が出かねない」という強い危機感のもと、CO2排出量の開示と削減の活動を加速させました。
──CO2排出量可視化ツールの導入を検討したのはなぜですか。
會田:事業活動におけるCO2排出量の算出・開示自体は2018年度から行ってきましたが、「GHGプロトコル」に沿った「サプライチェーン排出量(Scope 1・2・3)」を算出し始めたのは2020年のこと。総務部から異動してきたばかりの私がほぼゼロから取り掛かりました。
当然、右も左も分からないところからのスタート。資料を片端から読み漁り、それでも分からない部分は環境省などに直接問い合わせをしながら、知見を深めてきました。それに伴い、当社のCO2排出量データの精度も毎年少しずつ上がってきています。
しかし、同時に課題も見えてきました。
一つは、手入力にかかる手間やミスです。
当時当社では、全95拠点に毎月のエネルギーの使用量等のデータをCO2排出量集計システムに入力してもらい、そのデータを元にエクセル表でCO2排出量を算出していました。
しかし、システムへのデータ入力は人が手作業で行うためミスも起きやすい。そのため、入力されたデータを我々の課で見直す作業が必要でした。前年と比べて数値のギャップが大き過ぎないか、小数点のミスはないかなどを確認し、異常値があれば、各拠点に問い合わせて一つ一つ潰していく。一連の作業には大変な時間がかかり、当年度分のCO2排出量のデータが揃うまでには毎年8ヶ月も要していました。
また、作業が私個人に属人化していたため、数値の正確性への不安もありました。社内で私以外誰一人として、ツールから抽出したデータを元にどのように計算しているかが分からない。そのため、ダブルチェックがほぼ不可能な状況に陥っていたんです。
蛭田麻美様(以下、蛭田):算出の作業については、會田がまさに「職人」のようにたった1人で担っていました。傍目で見ながら大変そうだとは感じつつ、何をどんな風に手伝っていいのか見当もつかない状況でしたね。

會田:こうした背景から、数値の信頼性を確認するため、2022年度のデータについて初めて第三者保証機関に検証をしていただいたんです。すると、恐れていたように、計算方法の一部が誤っているなどの粗が見つかりました。
この出来事をきっかけに「現状のやり方にはもう限界がある」との結論に至り、「人の手」を代替するシステムの導入を検討し始めました。
──数あるCO2排出量可視化ツールの中から「e-dash」を選んでくださった決め手はなんですか。
會田:半年間ほどじっくり時間をかけて情報収集をしました。
いろいろなツールを様々な側面から比較検討し、総合的に見たときに最もバランスが良いと感じたのが「e-dash」です。
評価したポイントの一つ目が、手入力の必要がなく、電気やガス等の請求書のデータアップロードだけで作業が完了すること。これまでは手入力されたデータの再確認にかなりの労力を割いていたため、これがゼロになることで、業務が大幅に効率化できると感じました。
また、ツールの使いやすさも気に入ったポイントです。
ツールを使うのは、私たちだけではなく、150人にのぼる現場の担当社員たち。そのため、知識やスキルを問わず誰にでも使いやすいユーザーインターフェースに魅力を感じました。
また、ダッシュボードも非常に見やすく、対前年・対前月でCO2排出量がどのように変化したか、何が要因で増減したのかが一目で確認できます。これまで、現場の社員は決められたデータを入力するだけで、そこから計算されるCO2排出量に触れる機会はほぼありませんでした。しかし「e-dash」を使えば、社員が自拠点のCO2排出量を知り、分析・評価までできる。社員の脱炭素意識の向上に役立つと考えました。
さらに、こうした利点と費用を合わせて考慮したとき、他社に比べてコストパフォーマンスが高いと感じましたね。
ただ、当時使用していた環境データを格納するツールから「e-dash」に直ちに切り替えるというのは難しく、約1年の並行使用期間を設けることになりました。2023年12月をデッドラインにし、社内やe-dashと一つ一つ課題を解消しながら、移行準備を進めてきました。
──移行期間におけるe-dashのサポートはいかがでしたか。

會田:非常に丁寧にご対応いただいたと思っています。
メールのやり取りに加えて、多い時には2週間に1度ほどオンラインで打ち合わせをし、本格導入にあたっての細かな調整をしてきました。
たとえば、アップロードするデータに関する認識の擦り合わせ。当社でアップロードするデータは形式も様々なため、「この部門からはこの形式でアップロードする」とか「このデータについてはこの部分の数字を読み取ってほしい」など、e-dash側とルールを作りました。
また、ツール切り替えに伴い各拠点の担当者に向けて説明会を開いた際には、e-dashのご担当者にも参加してもらいツールの使い方を説明してもらうなど、ご協力いただきました。
蛭田:こんな機能がほしい、この機能を改善できないか、などわがままに近い要望も沢山出させていただきました。
會田:毎度必ず持ち帰っていただき、「来週からはこういうオペレーションに変えます」「今月末までにはシステムを改修します」などと、かなり短いタイムスパンでご対応くださっている。必ず答えを出していただける、という安心感があります。
2023年はツールを併用していたため正直、作業の手間・忙しさは減りませんでした。ただ、「改善に向けて着実に前進している」というのが日々感じられたので、大変な中でもやってこられました。
※取材は2024年1月中旬に実施
──今後の目標や「e-dash」に期待したいことは?
會田:サステナビリティ推進課管理チームでは2024年、「データの分析評価フィードバック」をテーマの一つにしています。これまではCO2排出量の算出・可視化に多くの労力を割き、手が回り切っていなかった部分です。今後はデータを集めることは「e-dash」に任せ、集めたデータを評価・分析し、部門に対して改善提案のフィードバックをすることにさらに力を注いでいきたいと思います。
こうした観点から、「e-dash」に次に期待したい点としては、データの評価分析を助けてくれるような機能を追加していただきたい、というところでしょうか。
私が脱炭素に携わり始めてからの約4年間にも、現場の課題は「可視化から削減へ」と急速に移り変わっています。「e-dash」には引き続き「変化するお客さんのニーズにアンテナを張り続け、進化していってほしい」と期待しています。
株式会社イトーキ
所在地:〒103-6113 東京都中央区日本橋2-5-1
事業内容:ワークプレイス事業、設備機器・パブリック事業、その他
URL:https://www.itoki.jp/
企業情報
会社名
株式会社イトーキ
所在地
〒103-6113 東京都中央区日本橋2-5-1 日本橋髙島屋三井ビルディング
業界
製造
事業内容
ワークプレイス事業、設備機器・パブリック事業
あらゆる企業が、自社に適した道筋で
事業の成長と脱炭素化を両方実現できるように。
ご希望のお取り組み内容に応じたご提案が可能です。
詳しくはお問い合わせください。