Story導入事例

トップ

/

導入事例

/

岩崎工業株式会社

「もったいない」の精神を脱炭素へ。老舗プラスチックメーカーが「中小企業版SBT認定」に踏み出した理由 

2026.05.28

  • 導入企業

  • 製造

  • CO2の可視化

  • CO2の削減

  • 100人〜999人

  • 非上場

  • SHARE

    岩崎工業株式会社
    代表取締役社長 岩﨑 章浩 様


    奈良県が実施する県内中小企業向けの脱炭素経営支援プログラム「まほろばゼロカーボンチャレンジ〜CO₂見える化〜」。

    このプログラムに参加した企業の一つが、創業80余年の歴史を持つ老舗プラスチックメーカー、岩崎工業株式会社です。家庭日用品ブランド「Lustroware(ラストロウェア)」や医療機器ブランド「Lustromedic(ラストロメディック)」を展開し、私たちの暮らしに深く根ざしたものづくりを続けています。

    代表取締役社長の岩﨑さんは「『もったいない』という精神を大切に、長く使い続けられる製品を届けるのがメーカーの誇りだ」と語ります。

    そんな伝統あるメーカーが、CO₂の見える化に取り組み、SBT認定の取得と削減目標の達成に挑む理由とは。

    目次

    「プラスチック自体が悪いのではない」。長く使い続けられるものづくりへの誇り

    ━━事業内容について教えてください。

    岩﨑様(以下、岩﨑):私たちは「Lustroware(ラストロウェア)」というブランドで、お弁当箱や保存容器などの家庭日用品を、「Lustromedic(ラストロメディック)」というブランドで医療機器の製造販売を行っています。自社で設計、開発、製造、販売までを一貫して行うスタイルが強みです。

    主力製品の冷水筒、いわゆる麦茶入れは、「パッキンのお手入れが面倒だ」というお客様の声に応え、蓋とパッキンを一体化させた特許技術を用いた製品を自社開発しました。年間数百万本を販売し、大手ECサイトでもベストセラーになるなど、多くのお客様からご支持をいただいています。

    プラスチック製の家庭日用品がずらりと並ぶ自社ショールーム

    ━━御社のショールームも拝見しましたが、私たちの生活に欠かせない便利な製品ばかりですね。長年ものづくりを続けてこられた中で、大切にされている「想い」についてお聞かせください。

    岩﨑:プラスチックという素材は、最近でこそ環境への影響といった少しネガティブなイメージを持たれがちですが、本来は軽くて丈夫で、成形もしやすい非常に便利な素材なんです。車や飛行機に使われれば軽量化によって燃費が良くなり、エネルギー効率も上がります。

    結局、素材が悪いのではなく、使い捨ててしまう人間側の選択の問題だと思うんです。だからこそ私たちは、日本人的な「もったいない」という精神を大切に、堅牢で長く使い続けられる製品を作る。プラスチックに対する負のイメージを払拭するために会社全体で取り組んでいます。

    主力製品の冷水筒。お客様の声を聞き、お手入れしやすく長く使えるものを

    「もったいない」を形に。現場の工夫から、地域課題を解決する資源循環まで

    ━━具体的にはどんな取り組みを行っているのでしょうか。

    岩﨑:例えば、製造工程では、プラスチック樹脂の中に特殊な添加剤を入れ、成形温度を下げる工夫をしています。温度を下げられれば消費電力が抑えられ、それがCO₂削減に直結しますからね。

    また、地域での資源循環にも注力しています。三重工場の近くに拠点を置くオムロン株式会社が生産拠点を国内回帰された際、車で5分という近距離にある弊社が製造を担うことで、輸送時のCO₂排出量を極小化しました。ほかにも、同じ工業団地内にある大手印刷会社の工場から出るフィルム端材を再利用してゴミ箱を作り、地元の学校に寄付して環境の授業をさせていただくといった活動も行っています。

    そうした「捨てるのはもったいない、何かに活かせないか」という想いは、製品開発にも繋がっています。三重県桑名市では、放置竹林が問題となっており、伐採材を活用できないかと相談を受けたのがきっかけで、竹の端材とおむつの切り端(不織布)を混ぜ合わせた樹脂でゴミ箱を製品化しました。

    廃棄素材を使ったプラスチック製品の数々

    竹は水分が多く成形が非常に難しいのですが、一見プラスチックには見えない竹の風合いを活かした製品に仕上がりました。現在は旅館や三重県のアンテナショップなどで販売しています。

    「見える化」が経営判断の裏付けに。数値の変化が現場のモチベーションを引き出す

    ━━すでにさまざまな取り組みをされていますが、今回、「まほろばゼロカーボンチャレンジ〜CO₂見える化〜」プログラムに参加しようと考えたきっかけを教えてください。

    岩﨑: CO₂を減らしたいという思いはあっても、実際にどれだけの電気を使い、どれだけのCO₂を出しているのかが「見える化」できていなかったことが最大の課題でした。きっかけは、お取引のある大阪シティ信用金庫からのご紹介でしたが、これは改めて環境に対する意識をリマインドする非常に良い機会だと思って参加を決めました。

    ━━実際に「e-dash」を使って可視化してみて、どのような気づきがありましたか。

    岩﨑: 「これくらい使っているんだな」と数値で見えるのは、やはりいいことですね。ダイエットと同じで、数字が減っていくのがわかるとモチベーションになります。逆に「これだけしか減らないのか」となったら「よし、もっと頑張ろう」と思える。それから、UI(画面デザイン)がシンプルで使いやすい点もいいですね。

    弊社では、古い油圧式の機械を減らして、電動式の機械に入れ替える取り組みもしています。以前は「まだ動くのにもったいない」という思いで使い続けてきた部分もありましたが、環境や燃費を考えれば、最新の電動式に替えた方がCO₂もコストも抑えられる。機械を入れ替えた際に「これだけ減るんだ」というインパクトが数字でパッとわかるのは、経営判断の裏付けとしても非常に有効だと感じています。

    SBT認定は次世代に選ばれるための「安心感」。誠実なものづくりを客観的な指標で社会にアピール

    インタビューに応える岩﨑氏

    ━━さらに一歩先として、今回「中小企業版SBT認定」の取得も決められました。国際的な基準に挑む背景には、どのような想いがあるのでしょうか。

    岩﨑: 世間一般の環境に対する意識が高まっている中で、プラスチックを扱う企業としてどうポジティブに発信していけるか、自社の事業による負のインパクトはきちんと減らしていきたいという想いがあります。

    これからは環境に取り組んでいる企業が応援される時代です。一般の消費者の方も「そういう姿勢の会社の製品を買いたい」という意識を持たれている。活動をSBTという客観的な指標でアピールしていくことは、企業価値を高めるためにも重要だと考えました。

    また、採用活動への影響もあると思います。例えば近隣の高校を訪れると、生徒からの質問で、以前は「SDGsやっていますか?」と聞かれていましたが、最近は「カーボンニュートラルの取り組みをしていますか?」と一歩進んだ質問を受けるようになりました。SBT認定を取っていることは安心感に繋がりますし、次世代に選ばれる企業であるために非常に重要だと思います。

    ━━今後、e-dashや行政にはどのようなことを期待されますか。

    岩﨑: SBTのような専門的な領域も含め、自分たちでは分からない部分の専門的なアドバイス、具体的にどうすればもっと減らせますかという提案などを、e-dashさんには今後も期待しています。

    行政に対しては、やはり設備更新への補助金ですね。例えば、工場のLED化ひとつとっても、非常に高額な投資になります。そうした初期投資へのサポートがあれば、私たちの取り組みもより加速させやすくなると思っています。

    岩崎工業株式会社 本社(奈良県大和郡山市)

    企業情報

    会社名

    岩崎工業株式会社

    所在地

    〒639-1132 奈良県大和郡山市高田町421-2

    業界

    • 製造

    事業内容

    プラスチック家庭日用品雑貨製造販売、プラスチック医療機器製造販売

    おすすめのお役立ち資料

    事例から知る! CO₂排出量の可視化から取り組む企業のe-dash活用

    成長は、削減しない。

    あらゆる企業が、自社に適した道筋で
    事業の成長と脱炭素化を両方実現できるように。

    e-dashなら、CO₂排出量の 可視化も削減も専門家が伴走しながら 1つのプラットフォームで実現。

    ご希望のお取り組み内容に応じたご提案が可能です。
    詳しくはお問い合わせください。