
三星運送株式会社 代表取締役 髙木俊英様 / photo by koji kishita
2021年度の日本のCO2排出量の17.4%(※1)を占める運輸部門。部門別では3番目に排出量が多く、脱炭素への対策が急務となっています。
一方で、物流業界は深刻な人手不足への対応も迫られており、中小企業を中心に「脱炭素まで追いつかない」という声も聞こえてきます。
そんななか、脱炭素への第一歩として、「e-dash」を用いてCO2排出量の可視化に踏み出した中小の運送会社があります。
愛知県豊橋市で自動車部品のトラック輸送を手がける「三星運送」です。
「e-dash」導入の背景には、脱炭素にいち早く取り組むことで他社との差別化を図り、荷主からさらに選ばれる企業になる、という社長の決断がありました。
※1 国土交通省ウェブサイト「運輸部門における二酸化炭素排出量」より
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000007.html
目次

──三星運送はどんな会社ですか?
髙木俊英様(以下、髙木):輸送の仕事は祖父の代から手がけています。もともとは愛知県の山間部で馬で材木を運んでいたそうです。やがて馬がトラックに置き換わり、1985年に先代の父が縁あって創業者からこの三星運送を譲り受けました。
自動車部品を運ぶようになったのはちょうどその頃です。輸送しているのは、自動車用のパワーウィンドウのモーターやヒーターなどです。県内の工場間や工場と名古屋港間など定期ルートを24時間体制で運行しています。
三星運送ならではの特徴と言えば、「人への投資」でしょうか。トラック輸送業界では、人手不足を背景に、即戦力となる熟練ドライバーの採用が優先され、若手の育成が進んでいないという悪循環が起きています。そんななか当社では、私個人の「未経験の人にトラックを運転する楽しさを伝えたい」という思いも重なって、この3年で20、30代の未経験者を9人採用しました。安全教育にも力を入れ、事故に繋がるような無理な働き方はさせない。「三星運送産の優良ドライバーを社会に送り出す」ということをモットーにしています。

──2022年12月に「e-dash」を導入いただきました。脱炭素を意識し始めたきっかけは何だったのですか?
髙木:2020年に当時の菅首相が「2050年カーボンニュートラル宣言」をして以降、大手自動車メーカーなどが次々と脱炭素への目標を掲げるのをニュースなどで見聞きしました。
取引先企業にも取り組みを求める動きが出てきていることも知り、「物流にも絶対に(こうした要請が)下りてくるだろう」と感じたのが最初のきっかけです。
──「2050年カーボンニュートラル宣言」以降、トラック輸送業界全体でも脱炭素に対する意識は高まりましたか?
髙木:実は、私の周辺では今に至るまで、脱炭素に関心を向けている中小の運送会社の経営者はほとんどいないというのが現状です。どの経営者も、人材確保や燃料高騰による運賃価格の見直し交渉など「明日会社を存続させられるか」に関わる目先の経営課題に追われています。正直、「脱炭素どころではない」というのが本音だと感じます。こうした状況は当然、当社も同じです。
しかし、荷主からCO2排出量の把握や削減が求められるのはもはや時間の問題です。燃費や走行距離などの情報はすでに開示が求められるようになっており、私自身は「きちんと対応していかないと荷主から選ばれなくなってしまう」という危機感を高めていました。
同時に、この状況をある意味“チャンス”と捉える気持ちもありました。同業他社が脱炭素への取り組みで遅れる中、先行して始めれば他社と差別化できるかもしれないからです。荷主がScope3への対応を本格的に始めたとき、すでに取り組みを進められていれば「一味違う会社」と見てもらえるでしょうし、そうすれば契約条件の交渉も有利に進められる。このように考えて、脱炭素への取り組みを検討し始めました。

──e-dashには、当社の提携先である蒲郡信用金庫さん経由でお問い合わせいただきました。
髙木:実は同じ時期に、他の金融機関からも、サステナビリティ・リンク・ローン(※2)の提案と併せて、脱炭素に関する他のコンサルティングサービスの紹介を受けていたんです。
そんななか、最終的に「e-dash」に決めたのは、やはりコストと使いやすさからです。
他社のコンサルティングサービスの見積もりは初期費用だけで数百万円でしたが、「e-dash」は月1万円から始められる。大企業に比べてリソースが限られている中小企業でも、この料金設定ならば、「まずは始めてみよう」と一歩を踏み出しやすいと感じます。
請求書をアップロードするだけという仕組みも楽で気に入りました。
※2:サステナビリティ・リンク・ローン(SLL):企業のサステナビリティ目標などの達成状況に応じて金利を優遇する融資の仕組み
──2022年12月に「e-dash」を導入いただきました。実際に使用してみての感想をお聞かせください。
髙木:初めてCO2排出量を可視化してみて、率直に「こんなにCO2が出てるんだ」とびっくりしましたね。トン単位で排出しているとは正直想像できていなかったものですから。
CO2排出量の変化をグラフで追える点も便利だと感じています。たとえば、2023年2月に事務所と倉庫の照明をLEDに入れ替えたのですが、それ以降、毎月の電力由来のCO2排出量ががくっと下がったのがグラフで確認できます。どこからの排出量がどれだけ減ったかが一目瞭然なので、施策の効果検証がしやすいと思います。
一方で、「e-dash」にぜひ機能の追加をリクエストしたい点もあります。
近々ホームページ上でCO2排出量を公表したいと考えているのですが、その際に「e-dash」からCO2排出量の推移などのグラフをそのままダウンロードできたり、「e-dash」上でCO2排出量を対外的に公開するための簡単なレポートを作れたりする機能があると便利だなと感じます。
──貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。「e-dash」は毎月2回、機能追加などのアップデートを実施しています。頂いたご意見は今後の改善に繋げていきます。
<三星運送様や他の利用者様からのご意見を踏まえ、「e-dash」は2023年8月中旬、「e-dash」上のCO2排出量などのグラフをそのままダウンロードいただける機能を追加しました。その後、三星運送様はこの機能を活用し、ホームページ上でCO2排出量の公表をしました>

──最後に、今後脱炭素に向けて取り組んでいきたいことを教えてください。
具体的な検討はこれからですが、やれることから一つ一つ取り組んでいきたいと思います。
現状の延長線上でできることとしては、省エネ運転の推進があると考えています。トラックの燃料である軽油は、当社のCO2排出量の内訳で最も大きい部分です。
昨年度は、社内で省エネ運転の講習を行った上で、前年度と比較して削減できた燃料代の一部をドライバーのボーナスに還元することにしました。その結果、1人当たり2万6700円を還元することができました。
脱炭素を進めるためには、こうした“取り組むメリット”も一緒に用意することがとても大事だと感じています。「協力してくれた分はちゃんと還元するから、みんなでやろうぜ」という感じで、今後も社員のモチベーションを上げながら、脱炭素へ取り組みを進めていきたいです。
三星運送株式会社
本社:〒441-8123 愛知県豊橋市若松町字若松925番地(若松工業団地内)
業種:運輸
事業内容:愛知県豊橋市を拠点に自動車部品を運搬
URL:https://mitsuboshiunsou.com/
企業情報
会社名
三星運送株式会社
所在地
〒441-8123 愛知県豊橋市若松町字若松925番地(若松工業団地内)
業界
倉庫・物流
事業内容
自動車部品の運搬
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