
株式会社ソーラージャパンが入る、親会社・株式会社サンジュニアの本社ビルで。左からソーラージャパンの特販事業部の青木翔太郎様、代表取締役の西原秀次様 / photo by 安徳希仁
「脱炭素に取り組まなければならないのは知っている。でも一体、どこから始めたら良いのか」──。
そんな悩みを抱える地域の企業をサポートしようと、長野県須坂市が2022年10月、独自の脱炭素支援を立ち上げました。市内企業5社が半年間「e-dash」を使って、CO2排出量の可視化・削減に取り組むというプログラムです。
2023年3月に終了したプログラムの第1期では、参加企業全てがscope 1・2(自社のCO2排出量)の可視化を完了し、複数の企業が削減に向けて具体的に動き出すなど、成功を収めました。
株式会社ソーラージャパンも、プログラムを経て削減に踏み出した企業の1つ。可視化したデータをもとに非化石証書を購入しました。
CO2排出量の可視化をしてみて“見えた”ことは。また、参加企業としてプログラムをどのように評価するのか。
同社の代表取締役の西原秀次様、特販事業部の青木翔太郎様にお話を聞きました。
須坂市へのインタビューはこちら
目次

──今回、須坂市が市内企業の脱炭素を支援するプログラムに参加しました。なぜ参加を決めたのですか。
西原秀次様(以下、西原):プログラムのことは、須坂市の産業連携課の担当者から「参加してみませんか?」と直接お声がけいただき、知りました。
実はちょうど同じタイミングで、長野県からもCO2排出量の算定方法に関する勉強会の案内があったんですね。そこで、まずは試しにそちらに足を運んでみることにしました。世の中の脱炭素の動きはもちろん知っていましたが、Scope 1・2など専門的な用語や考え方はそこで初めて学びました。「もっと勉強しなければ」と感じましたね。
我々は、太陽光発電設備や太陽熱機器の開発や製造、販売、導入など再エネ領域で事業を手がけていているので、脱炭素への具体的な取り組み方法を学ぶことは自社のビジネスにも直結します。
「まずは自分たちで実際に手を動かしながら学んでみよう。ひょっとしたらビジネスの種も見つかるかもしれない」。そんな気持ちから、この度の須坂市のプログラムを利用してみることにしました。

──プログラムでは、まずScope 1・2を「e-dash」を用いて可視化しました。「e-dash」を使ってみての感想を教えてください。
青木翔太郎様(以下、青木):CO2排出量の算出方法については先述の県庁の勉強会で学んでいるので、やろうと思えばエクセルシートなどを使って自力で算出・可視化をすることもできます。ただ、やっぱり手間がかかるし、間違いも怖い。ですから、請求書をスキャンしてアップロードするだけで可視化ができる「e-dash」は非常に便利だと感じます。排出量の内訳や推移もグラフ化されるので分かりやすいです。
西原:請求書のアップロードが遅れると、リマインドメールが届くんです。忙しいとどうしても忘れがちですから、この機能には助けてもらっています。
──参加企業5社の全てがScope 1・2のスムーズな可視化を達成しました。CO2排出量が可視化できたことで、何か気づきや発見はありましたか。
青木:可視化をするまでは正直、会社全体でどのくらいのCO2を排出しているのか、どこから最もCO2が排出されているのかなど想像すらしたことがありませんでした。
そのため、初めてCO2排出量の内訳をグラフで見たときは、率直に興味深かったですね。
当社では営業所や工場、寮の屋根には太陽光発電設備を設置しているので、他の参加企業に比べても電力由来のCO2排出量は少ないと思います。
一方で、ガソリン由来のCO2排出量が抜きん出て多かったのには、驚きました。営業用の車両を多く抱えているので、それが原因でした。
また、長野県ということもあり、冬場になると暖房由来のCO2排出量が一気に増えることも分かりました。

──可視化したデータをもとに、どんな削減計画を立てましたか。
青木:何が原因でCO2を排出しているかが明確に分かったので、削減施策も検討しやすかったです。
CO2排出量の最も多くを占める営業車については今後、ガソリン車から電気自動車やハイブリッド車に順次置き換えていく予定です。暖房も、現在は灯油と太陽熱を使用していますが、よりエネルギー消費効率が良いヒートポンプ式暖房を導入することを検討しています。
一方で、電気自動車やヒートポンプ式暖房を導入することで、今度は電力使用に伴うCO2排出量が増えてしまう。現状も全ての電力を自社の太陽光発電でまかなえているわけではありません。
そのため、消費電力は、非化石証書を購入することで電力の再エネ化をすることにしました。実際に、「e-dash」経由で、もうすぐ初めての非化石証書の購入が完了する予定です。
西原:CO2排出量の可視化・削減に自ら取り組んでみた経験は、今後の営業やビジネスにも生かせると考えています。
現在、太陽光発電設備や太陽熱機器の導入で当社にお問い合わせをくださる企業のほとんどが、CO2排出量の削減を目指されています。しかし、皆さん、プログラムに参加する前の我々と同じで「何から始めたらいいか分からない」という課題を抱えていらっしゃる。
ですから、今回の社内実践で培った経験・ノウハウをもとに、まずはお客様をCO2排出量の可視化に誘導し、その先の削減ソリューションの1つとして当社の製品やサービスをご提案していきたいと考えています。

──今回のプログラムでは、参加企業5社が取り組みの進捗報告等をする「須坂市カーボンニュートラル研究会」が設置されました。ソーラージャパンは代表企業を務めましたが、この研究会をどう振り返りますか。
青木:可視化したCO2排出量などのデータを参加企業同士で共有・比較できたのは非常に有意義でした。参加企業はいずれも製造業でしたが、手がける製品が異なるため、CO2排出の傾向も会社ごとに全然違ったんですね。だからこそ、他社のデータと比較することで、自社の課題がよりクリアになったと感じます。
西原:参加企業の1社が削減施策としてPPAでの太陽光発電設備の導入を検討しており、当社がお手伝いさせて頂くことになりました。参加企業同士の間でこうした連携が生まれたのも、研究会という場があったからこそです。
──最後に、参加企業として今回のプログラムをどう評価しますか。
青木:経験したからこそ言えますが、CO2排出量の可視化はやはり、脱炭素に取り組む上で何よりも先立つものだと感じます。一方で、企業単体では、なかなかその点に気付けないし、アクションも起こしにくい。だからこそ、今回のプログラムのように、自治体が「入り口」を用意し、一歩踏み出す機会をサポートして下さるのは大変意義があると感じます。
須坂市は9月より新たな企業を集めてのプログラム第2期を開始しました。今後も継続して取り組んでほしいです。
株式会社ソーラージャパン
本社:〒382-0097 長野県須坂市須坂1595-1
業種:製造
太陽光発電システムを用いた発電設備、CO2排出ゼロの熱エネルギー、太陽熱を給湯や暖房などに最大限に利用する太陽熱機器の開発・製造・販売・施工・計測・アフターサービスをトータルに行っている。
URL:https://www.solarjapan.jp/
企業情報
会社名
株式会社ソーラージャパン
所在地
〒382-0097 長野県須坂市須坂1595-1
業界
製造
事業内容
太陽光発電システムを用いた発電設備、CO2排出ゼロの熱エネルギー、太陽熱を給湯や暖房などに最大限に利用する太陽熱機器の開発・製造・販売・施工・計測・アフターサービス
あらゆる企業が、自社に適した道筋で
事業の成長と脱炭素化を両方実現できるように。
ご希望のお取り組み内容に応じたご提案が可能です。
詳しくはお問い合わせください。